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逗子に暮らす作家がおすすめするアラフィフ生活

(イタリア紀行②)フィレンツェの旅 ヴェッキオ宮殿とヴェッキオ橋

 

大トトロの歩幅は私の1.5倍、歩くスピードは2倍なので、どうしてもこちらは小走りになり終いには疲れ果てる。旅行中、万歩計を見ると毎日10km近く歩いている。猫バスが欲しいくらいだ。日本では移動手段がほぼ車なので、たかだか数百歩、ジムのウォーキングマシンで4000歩、最長はゴルフラウンドで1万5千歩だ。

 

朝食後、大トトロがシエナまで「お散歩」に行く計画をしている。とても散歩の距離ではない。私は辞退し、たまにはホテルで昼過ぎまでゆっくり眠りたいと彼を送り出す。午前中いっぱい寝心地よいベッドで爆睡して疲労回復にダラリンコしていた。

 


それでも頑張り過ぎた脚のむくみは取れず、あまりの外反母趾の痛みに耐えかねて、フィレンツェのドゥオーモ広場近くのSALE中の靴屋で、ゆるゆるフワフワ靴を二足買う。ようやく足腰に安らぎが訪れる。

 

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さてさて一人きりの優雅なお散歩がスタート。シニョリーア広場の南東にあるヴェッキオ宮殿に向かう。

 

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入口には有名なミケランジェロ作「ダビデ像」(レプリカ)とバッチョ・バンディネッリ作の「ヘラクレス像」が堂々と門番をしている。そのお向かいには美味しいチョコレートのお店。

 

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チョコレートをひとつ頬張りながら、宮殿の中へ入ると何やら警備が重々しい。発券売り場で、本日は博物館(美術館)のチケット12€だけの見学で他には行けない、と言われる。

 


制服姿のお巡りさんみたいなカッコいいイタリア人たちがいっぱいだ。警備が尋常でない。有名な500人広場で何やら式典をしているらしい。カッコいい警官隊たちと次々目が合う。パリではこんな時、パリジャンが私の前に立ちはだかり、息を飲んで「ビューティフル!」だの「ボニータ!」だのとパリのスペイン人までが声をかけてきて、瞬時にヘップバーンのごとくに柔らかに微笑み、「グラシアス」とスペイン語で挨拶し、わずかな教養の片鱗を見せる機会も多々あったのだが、イタリアに来た途端にさっぱりだ。イタリアは心の故郷、いやそれ以上に先祖の母国だと思っている。薩摩生まれの父の祖先がどうも怪しい。性格も外見もラテン系のような気がする。500年前にはザビエルやら鉄砲伝来やら、大勢のラテン系が大きな船で薩摩に上陸している。そのDNAを持っている気がするのは私だけでなく父までがそうで「イタリアに行くとなぜかホッとする」とのたまう。帰省した気分になるから不思議なのである。パリのようにbeautifulなどと誰からも言われないのはきっと、隣の姉ちゃんが帰ってきた、くらいの感覚なのだろう。イタリアでは珍しくもない、むしろへんてこりんで美には程遠い容姿なのであろう。そうなると、パリのように上品に振る舞う必要もなく、やりたい放題な気持ちになるから奇妙なものだ。途中、広場に設置されていたメリーゴーランドにまで乗ってしまった。

 

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ヴェッキオ宮殿は、1299年から十数年かけて造られ、初めフィレンツェ共和国の市庁舎として使われていた。1550年から1565年の間に、画家、建築家でありミケランジェロの弟子ヴァザーリによって部分的に改築された。現在でも、フィレンツェ市庁舎として使われている。

 


階段を上り、二階の廊下から見下ろしたら、黒服の紳士達が500人広場に500人くらいいた。お蔭で、有名なヴァザーリの壁画も見下ろすしかない。最近発見されたレオナルド・ダ・ヴィンチが途中まで描いた「アンギアーリの戦い」の絵があり、その上に二重壁にしてヴァザーリが描いた壁画「シエナ攻防戦」をじっくり観賞したかったのに!

 


14世期初めに建てられたこの建物は16世期にはメディチ家の宮殿となり、いたるところにメディチ家の紋章が描かれている。「メディチ」は「医師」という意味で、先祖は薬問屋か医師であったのではないかとされており、その場合この丸い球は丸薬ではなかったか。はたまた、メディチ家を大富豪にしたのは両替屋(銀行家)になったためで、その際用いられた分銅ではないかとの説もある。どちらにしても、メディチ家の一族に多いコジモの名は、医師と薬剤師の守護聖人聖コスマスに由来しているというから興味深い。

 

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メディチ家は後にアルノ川向こうにピッティ宮殿を所有したので、この「ヴェッキオ」とは「古い」を意味し、古い宮殿ということになる。

 


用心深い大富豪のメディチ家は、日常もいざという時の為にも、外を歩くことなく回廊を通って二つの宮殿を行き来できる道を造った。

 

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その回廊の一部、つまり有名なフィレンツェ最古の橋、ポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)がアルノ川にかかり、その先のピッティ宮殿まで続いているのである。

 

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ヴェッキオ宮殿には「地図の間」という大きな地球儀が置いてある部屋があるのだが、どうやらその部屋に隠し扉があり、その中を進むと秘密の回廊へと繋がっているそうだ。目を凝らして部屋を観察すると、確かに壁が切れている部分がある。ヴェルサイユ宮殿のマリーアントワネットの寝室と同じである。秘密のツアーがあるそうでいつか参加したい。

 

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昔からアルノ川沿いを歩くのが好きだった。お天気の日も雨の日も朝夕も、絵画のような美しさ。

10年ぶりのアルノ川は緩やかな流れを湛え、よれた心の糸を伸ばしてくれるかのような包容力に満ちていた。

 

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大トトロがシエナから戻り、影がまた二つ並ぶ。まったり夕闇散歩。

 

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ジェラートの店を発見。眺める。でも寒いから食べない。

 

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むかし何度も通ったワイシャツ屋さんはまだあるかしら…。ヴェッキオ橋に近づいた頃、川沿いに懐かしい店先が見えてきた。

 

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中に入ると、これまた懐かしいお顔の店主。「ボナセーラー、覚えてますか?ten years agoに何度も来たのよ?」と余りの感激にめちゃくちゃな言語を発するも、あちらも懐かしそうに満面の笑みでぎゅぎゅっとハグ。

 


大トトロは大トトロなだけあって日本で彼のサイズに合う既成のワイシャツがない。いつもこの店で買い溜めしていたのだ。

 


店主は10年の歳月も忘れたかのように「こっち、こっち」と地下へ続く階段を降り、私達もかってしったるでついて行く。地下には大きなサイズが沢山眠っているのだ。カラフルなワイシャツをこれでもか、というくらいに買った若かりし日々。店主も歳をとり、大トトロも歳を重ね、もはやカラフルより真っ白、白の縦縞あたりが重宝する。店主に白生地だけを所望し、丁度良いサイズは3枚しかなかったがそれらをゲットした。薄手のカシミアのセーターも安くしてくれてゲット。大トトロは御用達の店で大満足。私達の中では秘密の御用達ワイシャツ屋となっているのだが、日本である日、近所のクリーニング店に預けているワイシャツを取りに行ったら、全く同じブランドのタグのワイシャツが掛けてあったのには驚いた。ご近所さんでこの店で購入した人がいるのだ。世間は広いようで狭い。お歳を召した店主に、また来ますね、と熱いハグを交わした。

 


アルノ川はすっかり夕闇に青い帯となり、ヴェッキオ橋に小さな金色の星明かりが幾つもつき始めた。

 

この橋は普通の橋ではない。一階は店舗が続き、二階がピッティ宮殿へと続くヴァザーリ回廊になっている。橋なのに観光名所なのだ。しかもメディチ家の人々が回廊を通る際、橋が綺麗であって欲しいと、宝飾品店が連なるようにし、黄金色に輝いている。

 

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むかーし、新婚旅行に来た際、「サッキー」という店を見つけた。

 

我が名前サキと同じなので大トトロが面白がり入店すると、大好きな大きなブルートパーズの石の指輪があった。当時は円高でリラは安く、14金でもあったので値段は5万円くらいだった。試しにはめてみるも、指輪のサイズが16で私には大き過ぎる。結婚指輪のサイズは5、大トトロは23で二つは同じ値段であった。ブカブカの指輪に大金をはたいて買っても仕方ないのに「日本で直せば良い!」との店主の言葉にのってしまい衝動買いした。14金が王冠のようなデザインで、その中に長方形のブルートパーズ、その上に小さなダイヤが一粒埋め込まれている。他にはない手作り感がお洒落であった。

 

その「サッキー」が更に店構えを大きくして存在していた。サイズ直しする予定だった指輪は、まるでシンデレラのガラスの靴のごとくに、大トトロの母トトロ、の指にピタリと収まってしまい、今も姑の指の上で輝いている。

 

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ヴェッキオ橋から二階の回廊を見上げた。あの窓から中世の衣装を纏ったメディチ家の方々が覗いていたのだ。

 

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橋の途中からアルノ川を眺める。ブルートパーズからサファイアに変化した高貴な色の夜景が迫りくる。

 

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明日はこの川とさよならして、アドリア海ヴェニスに向かう。

 


          つづく

 

 

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